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アイツと、読書と、音楽と

岡村ちゃんに長患い

「岡村靖幸の『幸福』を探す午後」

先日放送されたスペースシャワーTV、オリジナルアルバム『幸福』発売記念特別番組岡村靖幸の『幸福』を探す午後」を観ました。
岡村靖幸いとうせいこう・オカモトレイジの三人で巡る幸福を探す旅、というコンセプト。
 
スペースシャワーTVといえば、何と言っても2011年の夏に岡村靖幸のおしゃべりエチケット ライナーノーツに憧れて」という非常に貴重な番組を作ってくれましたね。その時の様子はこちら。
 
ということで、今回も期待に胸をふくらませながら拝見いたしました。
 
まず、なんといっても日頃からかなり親交が深いと思われるせいこうさんとレイジくんという組み合わせがいい。非常にリラックスしているし、会話も弾んでおります。ちょっとした遠足感覚。
まず最初の車中の会話は岡村ちゃんからせいこうさんへ、アルバム「建設的」についての質問から始まります。

建設的

建設的


ここ最近の岡村ちゃん、ラップに興味津々。先日のこいちゃんとのラジオのようなものでも、プレゼンしたコーナーの一つとして「ラップを教えて!」を挙げておりました。
岡村「でもYO YOとか言えない。顔まっかっかになる」
いとう「恥ずかしくない言葉づかいを使えばいいのでは?」
岡村「如何ともし難いとか、切に切にとか」
いや、すごいな、と。ラップの話で普通は「如何ともし難い」という言葉が一番には出てこない。やっぱり言葉選びのセンスが常人からはみ出している気がします、とてもいい意味で。
まあ、私から言わせれば、ラッパーの方にとって「今夜君のヒップが何でできているか(以下略)」を語れ、と言われた方がよほど顔まっかっかだと思うので、お互い様だと思います。
 
そうこうしているうちに、最初の目的地、中目黒のwaltzに到着。
お店の詳細はこちら。
すこぶるセンスがいいお店。ここに住みたい、とても。
お三人ともお店に並べてあるカセットデッキを見ながらそれぞれの思い出を語りつつ店内を散策。
VHSかさばる問題に関して「母を訪ねて三千里」と「パパと呼ばないで」はこーんなに幅をとった、と両手を広げて力説するというまたエラくこちらの琴線に引っかかる題名を出してくる岡村ちゃん。私もアメディオのぬいぐるみを肩にのせて遊んでいたよ、と心の中で語りかけながら続きを拝見。
雑誌コーナーではせいこうさんが手がけたホットドック・プレスを見たり、FMステーションについていたカセット用のラベル(私も愛用!必須アイテムだった!)を懐かしんだり。
レコードのプチプチいう音を聴くとブルーになるので、そうなる前にカセットに録音して、カセットが劣化したらまた録音し直していたという話に猛烈な親近感。私にとってもレコードは高級品だったので同じことをしていたよ、という音楽的ノスタルジックにひたりまくる(俺が)場所でございました。
 
次の目的地に着く前に、車中で急に網タイツ問題を投げかける岡村。網が大きいと魚がひっかかるみたいで、と返すせいこう氏。
ガーターは?と自分の太ももに指で線を引きながらガーターベルトを表現し、畳み掛けて聞く岡村。
そして今度は女性の声問題。多感だったころは、声がダメで「この人もったいないなー」と思ったりしたけども(上から目線とせいこうさんが指摘(笑))今は高すぎない…うーん何でもいいです、僕、という結論。この…の最中に脳裏に浮かんだ声はどんな声だったのか知りたいような、知りたくないような(笑)。
 
と、ここでレイジくんの女性の好みに対して
「好み、うるっさいよねー!」と急に地の喋りになる岡村ちゃん
レイジくん曰く、LINEでいつも岡村さんから「この人どうですか?この人どうですか?」と女の子が送られてくるが
毎回当てていない、と。
岡「聞いてください!」
やたらめったらは、やっていない。レイジくんが以前好きだった女性を考えて、自分がレコメンドしているのに…。
「データ解析のシステム自体がおかしいんじゃないの、岡村くんの」
というせいこうさんの的確な判定により、この話は終了。私もおかしなシステムのままで結構ですのでLINEでレコメンドされたいです。
 
次の目的地は、かねがね噂には聞いておりました、三田のガウディとも、現代のシュヴァルの理想宮とも言われる蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)へ。ここはぜひ一度行ってみたい。一級建築士の岡さんが、一人でビル建ててます。
そんな岡さんのブログはこちら。
せいこうさんの第一声が「岡さん、何やってんですかーーーー」だったもの。ほんと、自分の心の中の様々な感情を建築物として作っている途中、みたいな現実と非現実を両方感じるような場所。
まさに「幸福」を自らの手で作っているっていう感じがします。
 
車中でレイジくんが、幸福について「『自由の意味を知らないこと』が幸福」と語っていました。
レイジくんは、やっぱり若いな、と思わせる部分と、あれ、なんでこの子はこんなに大人なんだろう、と思わせるところが混在していて面白い!その辺りも岡村ちゃんは、ちゃんと理解していて、こういうレイジくんとしゃべるのが楽しくてしょうがないんだろうなー。
 
さて、最後の目的地は渋谷のバー。
せいこうさんと二人、幸福についての語りでしたが、これが大変よかった!
まず、せいこうさんの「まずこのアルバムのタイトル、よくぞつけたよね。」
この一言に今現在の岡村靖幸に対する全てが凝縮されているような気がします。
このあまりにもダイレクトすぎて、敢えて避けてもおかしくない「幸福」というタイトル。
小細工できない、もう正面から向かうしかない「幸福」というものに、岡村靖幸は真剣にしかもとても長い時間をかけて取り組んでいるのです。今の風潮から見ればもしかして愚直と思えるほどに、純粋に。
ここで語られた岡村ちゃんの言葉より、私はむしろせいこうさんの言葉の端々から、岡村靖幸の本質を垣間見ることになりました。そしていとうせいこうさん本人についても。
ナンシー関」の名の産みの親、と知った時から、私は比較的ヘビーなせいこうウォッチャーだったのですが、ご本人も自覚されているように、すごくせいこうさんの印象というのは変わりました。
昔は潔癖症ともいえるほど、自分の周りにピカピカの囲いを張り巡らして常に緊張感を持ったクレーバーな人、という感じでしたが、今のせいこうさんは本当に柔らかくなった。それは考え方が柔軟になったというのとは違う柔らかさ。
質問をしまくる岡村ちゃんと、質問に大いに答えるせいこうさん。その二人のバランスを客観的にせいこうさんは感じとっていらっしゃいましたが、そのあたりのさじ加減が絶妙。オトナが見せる成長って素敵じゃん!と感じさせてくれる対話でございました。
そして、そういう大人たち、もしくはそういう大人達に接している若者達のおかげで、自分のバランス感覚を上手く整えることができ始めた岡村ちゃん
何をやるにも熱量が一番大事、と語っていました。ほんとにそう。歳を重ねれば重ねるほど、熱量は生活の中で分散されていきます。それが自己防衛なのかもしれないけれど、クリエイティブな人たちが持つ熱量を維持する方法というのは人それぞれのやり方があり、今の岡村靖幸はその維持する力をうまくコントロールできているのではないでしょうか。
 
今回の番組、結論としてとてもよかったです。歳を取るのは素敵なことだと心から思える内容でした。
あぁ、これもまた幸福の一つですね。歳をとることだって幸福なんだ。
スペシャ岡村ちゃんが、これからも相思相愛でありますように!
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