アイツと、読書と、音楽と

岡村ちゃんに長患い

ミュージカル「100万回生きたねこ」を観た!


100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))

100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))

<ゆるやかに崩壊していった家庭を営みながら、私は1冊の絵本を創った。
一匹の猫が一匹のめす猫にめぐり逢い子を産みやがて死ぬというただそれだけの物語だった。
100万回生きたねこ』というただそれだけの物語が、私の絵本の中でめずらしくよく売れた絵本であったことは、
人間がただそれだけのことを素朴にのぞんでいるということなのかと思わされ、何より私がただそれだけのこと
を願っていることの表れだった様な気がする>


ミュージカル「100万回生きたねこ」を観てきました。
東京芸術劇場、初めて行きましたが、素敵な空間ですねー。なんだかいろいろおのぼりさんのようにウロチョロ
して、スペイン製のピアスと、iphone用ネコピアスを買ってしまいました。
また、プレイハウスのすぐ脇のお店が「奏(かなで)」という名前だったのも、ちょっとうれしい。


100万回生きたねこ」は、2010年に亡くなられた佐野洋子さんの代表作。
どれだけの子供が、この絵本を通して「死」とは悲しいけれど、悲しいだけではない、ということを
感じてきたことでしょうか。
さてさて、舞台の方は、ミュージカルというより「音楽劇」と言った方がしっくりくるかもしれません。
舞台装置の可愛らしさ。これが素晴らしかった。
母親が子供に絵本を読み聞かせるように‥、子供が急いて次から次へと‥、祖母が昔を懐かしみながら‥
そんなページをめくるような感じで舞台が変わっていくのです。
時には海、時にはテント小屋、時には猫たちだけが住む野原。
そこに小さな楽隊たちの奏でる優しい音楽。絵本の中に自分がとびこむことができたかのような幸せ。


森山未來くんめあてで行ったのですが、今回はすっかり満島ひかりちゃんにやられました。
あの輝く大きな瞳。そして芯の通った歌声。表現力の豊かさ。
森山くんとの、恋をする猫たちのダンスは、バレエの一幕を見ているような美しさ。
カーテンコールの時に、彼女が涙ぐんでいる姿がとても印象的。それもそのはず、彼女に対する拍手の
大きさ、すごかったです。
舞台を見る楽しみには、このカーテンコールのお客さんの反応というのがあります。
やはりお客さんは正直です。脇役であろうが、その時一番自分に感動を与えてくれた人に、心から感謝の
拍手をするものです。もちろん主人公の森山くんの踊り、歌、演技力に惚れ惚れしたのは言うまでもありません。


脇を固めるのも、田口浩正さん、銀粉蝶さん、アリキリの石井さん(いい声でした!)など、芸達者な
皆さん。


100万回も輪廻転生を繰り返し、それを悲しいと思わず生きてきた猫が、愛するものを失う悲しみを初めて
知り、そしてその横で自分も静かに永遠の眠りにつく。
悲しい、でもなぜか幸福感で満たされるラスト。
見て良かった、と心から楽しめた、そして絵本の世界を忠実に表現した素晴らしい舞台でした。