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アイツと、読書と、音楽と

岡村ちゃんに長患い

ユリイカ増刊号「総特集 岡村靖幸」

岡村靖幸は、ハードルを上げる人だ。それは自分に対しても、他人に対しても。明らかに目標を能力以上に設定する。そして「私達」は、そのハードルを何度も何度も練習し、クリアする。その喜びに浸る間もなく、またハードルは驚く高さに上がっている。そして「私」はまた何度も何度もそのハードルに立ち向かう。

ユリイカまるごと岡村靖幸である。これが出ると聞いた時、その執筆陣を見て、豪華だけど目新しくない、と思ったのは私だけではなかったはず。読んでみて、私は多いに反省することになる。そこには、ハードルを上げられた人達が、嬉々としてクリアしようと努力する姿が見える。岡村靖幸論を語る全ての人に溢れ出てくるアドレナリン。私はその匂いを感じるだけで、胸がいっぱいになる。

答えのないものに答えを見つけたくなる欲求、その対象として彼は最適である。穏やかな語り口とは裏腹な、ステージ上での繊細でありながら強烈な音の密度、絶妙な不安定感、予測不可能なパフォーマンス。まあ、こういう素敵な「行為」を挙げたらキリがないのだが、いつまででも私達は、その行為について語りたがる。

今回のユリイカには、そんな挙げたらキリのないものが、山ほど積まれている。数えきれない岡村論のなか、本人は坂本教授と老化減少について語ったり、浅草を散策して変なブレザーを羽織ったりしてみている。にくいぞ、と思う。こんにゃろー、とも思う。そして、だいすきだー、と最後にはまた思う。

また、私は大変なひとを好きになってしまったな、と何十回目かの再確認をさせられる、そんな本でした。いつかは勝負に勝ってみたいぜ、岡村靖幸、アイシンク荘!

☆5